水産研究成果情報検索結果




北海道産ヤマトシジミの人工種苗生産技術開発試験
・北海道天塩地方における天然ヤマトシジミの成熟時期は6月下旬から7月中旬頃であった。・人工産卵の最適条件は低水温から水温25℃塩分2〜5psuの刺激であった。・人工種苗の淡水耐性獲得時期は産卵から2週間後であった。・人工種苗にキートセラスや粉末珪藻等を与えることで止水環境下での育成が可能であった。・人工種苗を漁場に置くことにより育成が可能であった。
担当者名 北海道立水産孵化場 さけます資源部 資源管理科 連絡先 Tel.0123-32-2135
推進会議名 北海道ブロック 専門 資源生態 研究対象 貝類 分類 普及
「研究戦略」別表該当項目 1(3)資源管理型漁業生産技術の高度化
[背景・ねらい]
 ヤマトシジミ産地である北海道天塩および石狩地方では、近年漁獲量が急激に減少している。資源量調査によると稚貝の発生が少なく、新規参入が望めない状況にあることから、今後資源を維持し増大させるためには人工種苗生産技術を開発し、種苗添加を図る必要がある。
[成果の内容・特徴]
(1)天塩産ヤマトシジミの成熟時期:7月上旬から9月中旬にかけて天塩川および天塩川パンケ沼の各漁場から成貝を採集し、軟体部重量比および卵巣像(生の標本)から成熟時期を推定したところ、雌雄とも6月下旬頃から7月中旬頃が成熟時期であった。

(2)天塩産ヤマトシジミの人工産卵最適条件:7月上旬に天塩川で採集した成貝を一晩氷蔵し、翌日異なる水温と塩分濃度条件下に成貝を移行し、産卵数から最適条件の検討を行ったところ、水温25℃塩分2および5psuで多くの産卵がみられた。

(3)人工種苗の淡水耐性獲得時期:人工産卵から得た浮遊幼生および初期稚貝を塩分5psuから淡水に置換し翌日の生残率を調査したところ、産卵から2週間後に対照区(5psu)と同程度の生残率を示した。

(4)人工種苗の止水環境下での飼育と漁場での育成試験:7月上旬に採集した成貝から人工産卵により得られた浮遊幼生を500lのパンライト水槽を用い止水環境下で約2ヶ月間飼育を行った。飼育期間中は週に2回約1/2程度飼育水の交換を行い、餌としてキートセラス・カリストランス、粉末珪藻、腐植土等を与えた。飼育した稚貝を9月上旬にプランクトンネット入れて天塩川パンケ沼に垂下させて20日間育成したところ、生残と成長が確認された。


[成果の活用面・留意点]
・天然ヤマトシジミの成熟時期を把握し、人工種苗生産時期に活用する。

・人工産卵最適条件、淡水耐性獲得時期、止水環境下での餌および漁場での成育結果などの情報から、今後は人工種苗の大量生産化が可能となる。

・人工種苗放流による資源造成方法について検討が可能になる。


[その他]
研究課題名:天塩におけるヤマトシジミ人工産卵技術試験(天塩漁業協同組合との共同研究)石狩におけるヤマトシジミ人工産卵技術試験(石狩漁業協同組合との共同研究)

研究期間:平成15年度(1年間)

予算区分:共同研究

研究担当者:佐々木義隆(資源管理科長)・水野伸也(養殖技術科研究職員)・今田和史(内水面資源部長)

発表論文等:
[具体的データ]

図1.成貝を異なる水温および塩分に移行した際の産卵数の比較

各試験区に成貝12個体を用い、産卵数を比較したところ、水温25℃塩分2〜5psuの条件で多くの産卵がみられた。


図2.天塩川およびパンケ沼における雌シジミ卵巣像

a〜e-2は天塩川f〜hはパンケ沼a:6月9日b:6月24日c:7月3日d:7月9日e-1、2:9月10日f:6月9日g:6月24日h:9月10日黒バーは100μm、6月下旬、7月上旬の卵は大きく黒い球形を呈している。


図3.産卵から4〜14日後における浮遊幼生および稚貝の淡水移行翌日の生残率の比較

シャーレ内に約200個体を入れ、淡水に置換後20℃の恒温器内に収容し翌日生残を観察した。人工産卵から4〜10日目までは生残率は対照区より低いが、14日目では生残率が高く、対照区とほぼ同じ値を示した。数値は3区の平均値で縦棒は標準誤差を示す。

表1.天塩川パンケ沼で20日間育成した人工種苗稚貝の平均殻長および計測個体数


止水環境で育成した人工種苗稚貝をプランクトンネットに収容し、9月9日から29日にかけて天塩川パンケ沼に垂下して育成した。斃死した個体はみられず、平均殻長は約1.5倍に成長しており、安価な方法で育成できる可能性が示された。





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