水産研究成果情報検索結果




2015年秋季北海道函館湾における渦鞭毛藻K mikimotoiによる有害赤潮の初記録
生鮮海水試料のモニタリングにより、有害赤潮プランクトンである渦鞭毛藻類カレニア・ミキモトイが北日本で初めて、2015年の10月中旬から11月下旬まで函館湾において確認された。本種による赤潮は、水温9.9〜15.7℃、塩分31.8〜32.2の範囲に分布した。本種の分布域拡大は対馬および津軽暖流による輸送か、または船のバラスト水を介した人為的輸送によると推察された。
担当者名 地方独立行政法人北海道立総合研究機構中央水産試験場 資源管理部 海洋環境グループ 連絡先 Tel.0135-23-4020
推進会議名 北海道ブロック, 漁場環境保全関係 専門 赤潮・貝毒 研究対象 プランクトン 分類 研究
「研究戦略」別表該当項目 1(3)水産生物の生育環境の管理・保全技術の開発
[背景・ねらい]
近年、船舶バラスト水等を介した人為的輸送あるいは気候変動等による有害有毒プランクトンの分布拡大が危惧されており、暖海性渦鞭毛藻がより北の海域へ分布を拡大した例が知られている。日本海沿岸においては、温暖化傾向が著しいことから、北海道の対馬暖流域および津軽暖流域において暖海性有毒プランクトンの分布北上が懸念されるところである。渦鞭毛藻Karenia mikimotoiは主に西日本でブリ、マダイ等の魚類養殖やアワビ類等の貝類漁業にも甚大な被害を与えてきた暖海性有害赤潮プランクトンであり、これまでは分布北上の報告はなかった。
[成果の内容・特徴]
本研究では、沿岸域における生鮮海水資料のモニタリング(図1)により、2015年に津軽海峡沿岸の函館湾においてK. mikimotoiが北日本で初めて観察された(図2)。本種は10月20日に初めて発見され、11月17日の11,500cells/mLを最高値として11月24日まで計5回赤潮状態が観察されたが、12月以降急減して12月14日には確認されなくなった(図3)。赤潮発生時の環境は、水温9.9〜15.7℃、塩分31.8〜32.2の範囲にあった(図4)。本種の出現期間中に漁船内の活魚水槽で畜養していたスルメイカTodarodes pacificus、漁港内で垂下畜養中のエゾアワビHaliotis discus hannaiおよび定置網に入網したサケOncorhynchus ketaに斃死が認められた。本種の分布域拡大は対馬および津軽暖流による輸送か、または船のバラスト水を介した人為的輸送によると推察された。この結果を受けて、2016年にも調査を行い、2016年秋季も2015年の規模には及ばないものの、本種の出現が認められた。
[成果の活用面・留意点]
本研究および先行研究で明らかになった暖水性有害種の北海道への出現は、暖水種による有害赤潮の発生リスクが近年の日本海における顕著な温暖化気候と相まって北日本でも高まっていることを強く示唆する。今後は自然あるいは人為的要因の双方を想定しながら、これらの有害プランクトンの出現を注意深く監視する体制を整えることが重要である。




[その他]
研究課題名:海洋環境調査研究

研究期間:平成元年〜

予算区分:経常研究費

研究担当者:嶋田宏

発表論文等:嶋田宏、金森誠、吉田秀嗣、今井一郎:2015年秋季北海道函館湾における渦鞭毛藻Karenia mikimotoiによる有害赤潮の初記録.日本水産学会誌、82、934-938(2016)
[具体的データ]




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