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塩分とポテンシャルアルカリ度を用いた黒潮-親潮混合水域表層の混合比の推定
黒潮-親潮混合水域における表層の混合過程を明らかにするために塩分とポテンシャルアルカリ度を用いて解析を行った。黒潮続流、親潮、淡水の3エンドメンバーによる混合を仮定し、100m以浅におけるこれらの混合比を推定する方法を開発した。開発した手法を混合水域の特徴的な流れの一つである準定常ジェットに適応し、そこでの混合過程を明らかにした。
担当者名 国立研究開発法人水産研究・教育機構東北区水産研究所 資源環境部 海洋動態グループ 連絡先 Tel.022-365-9928
推進会議名 東北ブロック 専門 海洋構造 研究対象 海洋構造 分類 研究
「研究戦略」別表該当項目 5(2)主要水産資源の調査及び海洋環境等の長期モニタリング
[背景・ねらい]
 黒潮-親潮混合水域は漁業生産の高い海域として知られる。その高い生産性は高水温の黒潮続流と栄養塩豊富な親潮が混合することによって支えられている。両水塊の混合比を見積もることにより、表層水塊の変質過程、熱や栄養塩の供給過程等を解明することができる。しかしながら海洋表層における水塊の混合については、鉛直的な混合があること、エンドメンバーの水塊の密度が異なるため亜表層以深の混合解析で一般に用いられる等密度面混合過程が適応できないこと、および海面における大気とのやりとりがあることから、適切な解析手法が確立されていない。本研究では保存性パラメーターである塩分とポテンシャルアルカリ度(アルカリ度と硝酸塩濃度から計算される保存性パラメータ)を用いて、黒潮続流、親潮、淡水の3エンドメンバーの混合比を求める手法を開発した。
[成果の内容・特徴]
 準定常ジェット(黒潮続流から親潮域に向かって混合水域を横断する流れ)の周辺で観測を行い、保存性パラメーターである塩分とポテンシャルアルカリ度(PA)の分布を取得した。塩分とPAの散布図(図1)から、この海域の表層水塊が黒潮続流、親潮、淡水の3エンドメンバーの混合で形成されていることを示し、これらの混合比を見積もった。淡水の混合比は10m深でも3%以下に過ぎず(図2)、この海域の表層水塊は主に黒潮続流と親潮の混合で説明できることが明らかとなった。混合比から見積もられる淡水存在量は気象再解析の降水−蒸発量と整合的であった。準定常ジェットに沿った100m深における黒潮続流の混合比は42日で95%から27%に減少しており、準定常ジェットで下流に運ばれる間に急速に混合・変質していることがわかった(図3)。この混合により、上流から下流に向かっての栄養塩濃度の増加も説明できた。有光層では、親潮により供給された栄養塩により、基礎生産が増加していることも分離することができた(図4)。
[成果の活用面・留意点]
 高クロロフィル域や漁場の水塊混合比を見積もることにより、これらが形成されやすい環境を調べることが可能となり、漁場形成機構の解明に応用できる。
[その他]
研究課題名:環境変動に伴う海洋生物大発生の予測・制御技術の開発、東北沿岸海域の生物生産に影響を与える水塊変動特性の解明

研究期間:平成19〜平成23、平成28〜平成32

予算区分:農林水産技術会議、交付金

研究担当者:筧 茂穂(東北水研)、伊藤進一(東大)、和川 拓(日水研)

発表論文等:Kakehi, S., Ito, S., Wagawa, T. (2017):Estimating surface water mixing ratios using salinity and potential alkalinity in the Kuroshio-Oyashio mixed water regions. Journal of Geophysical Research Ocean, 122, 1927−1942
[具体的データ]




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