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青森県周辺海域におけるキアンコウの年齢査定と性判別
青森県周辺海域におけるキアンコウの買付け・解剖を要しない年齢査定と性判別の手法を検証した。年齢査定は、背鰭第一棘の付け根付近横断面のエッチング処理やメチレンブルー染色等の手法を併用して、脊椎骨によるものよりも読み取り誤差を小さく実施することができた。性判別は、全長(TL)-瘤状鼻管幅間の雌雄別回帰式の±20%の範囲で判定して、≧400 mm TLで正答率93%以上で実施することができた。
担当者名 地方独立行政法人青森県産業技術センター 水産総合研究所 資源管理部  連絡先 Tel.017-755-2155
推進会議名 東北ブロック 専門 資源生態 研究対象 他の底魚 分類 調査
「研究戦略」別表該当項目 1(1)水産資源の持続的利用のための管理技術の開発
[背景・ねらい]
キアンコウLophius litulonの主たる漁場である青森県周辺海域を対象に、試料魚の買い付け・解剖を要しない年齢査定と性判別の手法を検証した。
[成果の内容・特徴]
 背鰭第一棘による年齢査定法を検証した。背鰭第一棘の付け根付近の横断面をエッチング処理後、メチレンブルー染色、実体顕微鏡下で落射光と透過光の両者による比較観察することにより、不透明帯数の読み取り精度が向上した(図1)。同横断面には、1年に2本の不透明帯(主に産卵期にあたる6月と冬季の11-12月)が形成されていた。この年齢査定は脊椎骨によるものよりも読み取り誤差が小さく(表1)、標識放流魚の成長追跡結果と類似したことから(図2)、優れた年齢査定法と判断した。

 瘤状鼻管幅の性的二型を利用した性判別法の精度を検証した。キアンコウの全長-瘤状鼻管幅間の雌雄別回帰式の±20%の範囲で性判別した正答率は、400-899 mm TLで93.0-96.0%、≧900 mmで100%を示し、400 mm以上で実用的な性判別法と判断した(図3)。

 以上の技術を併用すれば、試料魚を買い付け・解剖する必要なく、購入費用を節約して、資源解析に大量のデータを供することができ、本種の迅速な資源管理の実施への貢献が期待される。
[成果の活用面・留意点]
 本成果を他海域で活用する場合、背鰭第一棘の横断面における不透明帯形成の年周期性は、生息海域による産卵期の違いを青森県周辺海域と比較し、1年に1本または2本形成されるのかを事前に検証する必要がある。
[その他]
研究課題名:我が国周辺水産資源調査・評価推進事業

研究期間:平成28-32年度

予算区分:国からの受託事業

研究担当者:竹谷裕平(青森水総研/北大院水),高津哲也(北大院水),山中智之(大阪環農水総研),柴田泰宙(水産機構東北水研),中屋光裕(北大水)

発表論文等:

Takeya Y, Takatsu T, Yamanaka T, Shibata Y, Nakaya M. Use of the illicium for age determination and verification of yellow goosefish Lophius litulon off Aomori Prefecture, northern Japan. Nippon Suisan Gakkaishi 2017; doi:10.2331/suisan.16-00041 (in Japanese with English abstract).

Takeya Y, Takatsu T, Yamanaka T, Shibata Y, Nakaya M. Sexual dimorphism in the bulbous nasal tube size of yellow goosefish Lophius litulon off Aomori Prefecture, northern Japan (in press). Nippon Suisan Gakkaishi; (in Japanese with English abstract).
[具体的データ]

図1 背鰭第一棘の横断面をエッチングし,メチレンブルー染色液で4時間染色した切片.

683 mm TL,日本海で2015年6月10日採集.矢印は着底輪,スケールバーは200 μmを示す.

表1. 3人の観察者が計数した背鰭第一棘および椎体の不透明帯数


<i>APE</i> (Average percent error)は平均エラー率,<i>IAPE</i> (Index of average percent error)は平均エラー率指数,<i>CV</i>は変動係数をそれぞれ示す.


図2 雌雄込みのvon Bertalanffy成長曲線と,標識放流調査から得られた成長の比較.

●印は成長曲線から推定された300および600 mm TLにおける年齢をプロットしたもの,直線の傾きは標識放流で再捕した34個体(300-600 mm TL)における年間平均成長率97.8 mm/yearを示したもの.


図3 全長(TL)と瘤状鼻管幅(NW)の関係.

キアンコウ(≧体重1 kg)のTL-NW間で雌雄別に有意な回帰式が得られ(<i>p</i><0.001),雄のNWは雌よりも大きかった.これらの回帰式に20%の偽陰性が存在する仮定して,上図のとおり判断した.





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