水産研究成果情報検索結果




沿岸で漁獲されるカラフトマスの放流魚と野生魚の比率および放流魚の経済的貢献度の推定
主に北海道オホーツク海沿岸で漁獲されるカラフトマスについて、耳石温度標識を用いて放流魚の回帰率や漁業への貢献度を推定するとともに、標識の付いていない野生魚の貢献度についても推定した。調査した2011年と2012年で放流魚の比率はそれぞれ約17%、22%で、残りは野生魚と推定された。また、漁獲金額に基づいた放流魚1尾あたりの経済産出額は1.5-2.2円と計算された。
担当者名 国立研究開発法人水産研究・教育機構北海道区水産研究所札幌庁舎 さけます資源研究部 資源保全グループ 連絡先 Tel.011-822-2340
推進会議名 さけ・ます関係 専門 資源生態 研究対象 さけ・ます類 分類 行政
「研究戦略」別表該当項目 1(1)水産資源の持続的利用のための管理技術の開発
[背景・ねらい]
主に北海道オホーツク海沿岸の小型定置網で漁獲され、サケと共に重要な漁業資源になっているカラフトマスの来遊数(沿岸漁獲数+河川捕獲数)は年々減少傾向にあり、資源量の回復を望む声が高まっている。カラフトマスもサケ同様人工ふ化放流が行われ、毎年約1.5億尾の稚魚が放流されており、その約2割の稚魚には耳石温度標識が施標されている。そこで耳石温度標識魚の比率を用いて沿岸で漁獲されるカラフトマス中の放流魚と野生魚の数量的な把握と放流魚の経済的な貢献度について推定を試みた。


[成果の内容・特徴]
調査は2011年(2009年級)と2012年(2010年級)の計2回行った。具体的には、漁協ごとのカラフトマス旬別漁獲数の実績に応じて漁獲魚の中から約1,000尾をランダムにサンプリングし、供試魚の耳石温度標識の有無と由来ふ化場を確認した。その結果、漁獲魚に占める放流魚の割合は2011年が16.6%、2012年が22.4%となり、放流魚は資源量の底支えとなっているものの、河川で自然産卵するカラフトマス野生魚の重要性が示唆された。また、漁獲金額に基づいた放流魚1尾あたりの経済産出額は2.2円(2011年)、1.5円(2012年)と計算された。この結果から、カラフトマスの資源回復のためには、耳石温度標識を利用した放流方法の違いによる回帰率の比較試験や自然産卵できる河川環境を保全・造成する取組みとその効果の検証が重要と推察された。


[成果の活用面・留意点]
本研究では耳石標識の付いている放流魚と付いていない放流魚の放流後の生残率を同じと仮定しているため、もし標識のない放流魚の生残が高ければ野生魚の比率を過大に評価することとなり、逆に低ければ放流魚の比率を過大評価することになるので注意を要する。今後は放流魚の標識率を高めることで精度の向上が期待できる。資源の大部分を野生魚(自然再生産)が担っていることが明らかとなったので、自然再生産を含めた新しいカラフトマス資源管理方策の策定に活用が期待される。


[その他]
研究課題名:野生魚を活用したさけ・ます類の維持・管理手法の開発

研究期間:平成23〜28年度(2011〜2016年度)

予算区分:交付金一般研究

研究担当者:大貫努、森田健太郎、徳田裕志、岡本康孝、大熊一正

発表論文等:大貫 努 2016 カラフトマスの資源回復を目指して 〜自然産卵の漁業資源寄与率推定〜 北の海から 25: 2p.

Ohnuki, T., Morita, K., Tokuda, H., Okamoto, Y., & Ohkuma, K. 2015. Numerical and economic contributions of wild and hatchery pink salmon to commercial catches in Japan estimated from mass otolith markings. North American Journal of Fisheries Management, 35(3), 598-604.

[具体的データ]




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