水産研究成果情報検索結果




サケ(Oncorhynchus keta)が中部ベーリング海から日本沿岸まで回帰する間に経験した地磁気
2012年と2013年に中部ベーリング海から、水温・水深・地磁気を記録できるアーカイバルタグをサケ(Oncorhynchus keta)に装着し放流し、同年にサケは北海道沿岸で再捕されタグは回収された。そのデータを解析し、サケのベーリング海から北海道沿岸までの回帰経路を推定した。サケの回帰経路は総磁力の等値線に沿っていた。
担当者名 国立研究開発法人水産総合研究センター北海道区水産研究所釧路庁舎 生産環境部 生産変動グループ 連絡先 Tel.0154-92-1725
推進会議名 北海道ブロック 専門 資源生態 研究対象 さけ・ます類 分類 研究
「研究戦略」別表該当項目 5(1)生態系の機能・構造解明及び地球温暖化対策のための研究開発
[背景・ねらい]
サケは北太平洋およびベーリング海で1〜7年間回遊生活をし、母川に回帰することが知られている。近年、サケ・マス類が地磁気を利用して外洋から 母川まで回帰している可能性が指摘されるようになった。ところが、サケ・マス類の回帰する間の地磁気情報を直接観測した例はない。そこで、2012年と2013年に中部ベーリング海で水温・水深・地磁気(総磁力・地磁気の俯角)を記録できるアーカイバルタグをサケに装着、放流し(図1)、そのデータから、サケがベーリング海から北海道沿岸までに、どのような地磁気を経験し、どのような回帰経路をたどるかを明らかにすることを目的とし解析を行った。タグを装着し放流したサケは2012年(タグナンバー608)と、2013年(669)に再捕された。
[成果の内容・特徴]
タグによって記録された地磁気・水温データと気象庁の表面水温と既存の地磁気マップを利用してサケの回帰ルートを推定すると、608を付けたサケは、ベーリング海から南西に向い北海道沿岸まで達し(図2)、669を付けたサケは、ベーリング海から西へ向いカムチャッカ半島沿岸に達した後、南下してオホーツク海に入り北海道沿岸に達したと推定された(図3)。回帰するまでの経験した平均総磁力と平均俯角の等値線の空間分布と回帰経路を比べると、サケの回帰経路は平均俯角より平均総磁力の等値線に沿っていた。このことから、サケは地磁気の総磁力を利用しベーリング海から日本沿岸まで回帰していると考えられる。
[成果の活用面・留意点]
北太平洋における2012年と2013年の表面水温の偏差の分布域はかなり異なっていたが、サケの回帰経路はどちらの年も大圏コースや地磁気の俯角の等値線ではなく総磁力の等値線に沿っていた。このことから、地球温暖化により海洋環境が変化しても水平的な回帰経路はあまり変化しない可能性がある。
[その他]
研究課題名:さけ・ます類の資源動向要因の解明

研究期間:平成26〜27年度

予算区分:国際資源評価等推進事業(補助)

研究担当者:東屋知範,佐藤俊平,浦和茂彦,永沢亨

発表論文等:Azumaya T, Sato S, Urawa S, Nagasawa T. Submitted. Magnetic force experienced by chum salmon (Oncorhynchus keta) from the central Bering Sea to the coast of Hokkaido, Japan. NPAFC Bull 6.
[具体的データ]




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