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自然再生産を利用したサケ資源造成技術の開発
石狩川上流域に野生サケ資源を復活させる目的で行った稚魚放流の効果を調べた。放流された魚は放流点付近に回帰し産卵していること、産卵床内の受精卵は高いふ化率を示すことから、石狩川でサケの自然再生産が可能であることが確認された。また、産卵床は水温が周辺より約4℃高い流れが穏やかな分流・淵・中州下流側に形成されること等、石狩川における産卵床形成に必要な条件の一端を明らかにできた。
担当者名 独立行政法人水産総合研究センター北海道区水産研究所釧路庁舎 さけます資源部 ふ化放流技術グループ 連絡先 Tel.011-822-2341
推進会議名 北海道ブロック 専門 増養殖技術 研究対象 さけ・ます類 分類 研究
「研究戦略」別表該当項目 1(1)水産資源の持続的利用のための管理技術の開発
[背景・ねらい]
石狩川上流域の野生サケ資源は、堰堤や頭首工の建設により親魚の遡上が阻害され、一時期消滅した。近年、これらの河川工作物に魚道が整備され魚の往来が可能になったことから、北海道区水産研究所(当時のさけますセンター)は2009-2011年の3年間、野生サケ資源の復活を目指した大規模な稚魚の標識放流を行なった。今回は、放流点付近における標識魚の回帰状況、産卵床の環境、受精卵のふ化率について調べた2011年-2013年の結果を整理した。
[成果の内容・特徴]
稚魚の放流地点である石狩川支流の忠別川と愛別川および石狩川本流において、産卵後の死骸数を毎年9月-11月に調査した(図1)。それぞれの調査点で確認された死骸数は、2011年が69尾・3尾・21尾、2012年が264尾・25尾・25尾、2013年が167尾・9尾・27尾(図2)だった。年齢組成は2011年が3年魚、2012年が3-4年魚、2013年が3-5年魚だった(図3)。また、各年の調査個体に占める標識魚の割合は、それぞれ86%、95%、96%となり、回帰親魚の大部分が放流魚由来であることが分かった。産卵床は河川の淵、中州の分流部とその下流側に集中していた(図4)。各調査年に確認した産卵床数は96ヶ所、365ヶ所、220ヶ所だった。産卵床が形成され易い地点(淵)の流速は30-51 cm/秒となり、河川中央部(161 cm/秒)や対岸(瀬:190 cm/秒)に比べると1/3以下であった。水温は本流より0.8-4.4℃高い傾向が認められた。また、2011-2012年に複数の産卵床における発眼卵の発生状況を調べた結果、いずれも95%以上の高いふ化率を示した。過去3年間の回帰親魚調査から、放流されたサケは順調に放流点付近に回帰し産卵していること、産卵された受精卵は高いふ化率を示すことなど、石狩川上流域にはサケの産卵と発生に適した環境が維持されていることが確認できた。また、産卵床が作られ易い地形やその環境など、産卵床形成に必要な条件の一端を明らかにできた。
[成果の活用面・留意点]
今回の調査から、放流魚由来の親魚を確認し、その再生産過程の一端を明らかにできた。特に産卵床に関する情報は、サケが自然再生産できる河川環境の保全を検討する上で重要な基礎資料となる。今後は、回帰親魚が放流魚から野生魚に入れ替わる過程を引き続き調べる必要がある。
[その他]
研究課題名:自然再生産を利用した資源造成技術の開発

研究期間:平成23年度-平成27年度

予算区分:北海道区水産研究所 交付金

研究担当者:伴 真俊(北海道区水産研究所 さけます資源部)

発表論文等:M. Ban, H. Ito, S. Takahashi. (2012) Restotion of wild chum salmon resources by artificial hatching and stocking. 10th Japan-Korea, Korea-Japan joint symposium on Aquaculture 2012 Program and abstracts.
[具体的データ]




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