水産研究成果情報検索結果




禁漁区設定によるイワナ資源の回復
イワナにおける禁漁区設定の資源増大効果を検証するため、信濃川水系雑魚川の支流において、2009年から設定された禁漁区およびその周辺水域の資源状況を2008年から2012年の5か年にわたり比較・検証した。禁漁区では1歳以上のイワナにおいて、体サイズの大型化とそれに伴う成熟個体数の増加が確認された。成熟個体数の増加に伴い、産卵数が増加すると考えられた。
担当者名 長野県水産試験場 環境部  連絡先 Tel.0263-62-2281
推進会議名 内水面関係 専門 資源管理 研究対象 さけ・ます類 分類 調査
「研究戦略」別表該当項目 1(1)水産資源の持続的利用のための管理技術の開発
[背景・ねらい]
禁漁によるイワナ資源の回復については生息密度の増加事例が報告されているが、対照区を設けての比較は行われていない。志賀高原漁業協同組合は2009年に信濃川水系雑魚川の支流の上流部に禁漁区を設定した。本研究では、禁漁前の2008年から禁漁4年目の2012年にかけて毎年10月に、禁漁区2区間(禁漁区A、B)及び同じ支流の遊漁区(遊漁区A、B)において1歳以上の資源調査を行い、禁漁の効果を検討した。
[成果の内容・特徴]
禁漁区が設定された2009年以降、遊漁区A、Bともにイワナの生息密度(尾/m2)に顕著な増減傾向はみられなかった。対して、調査最終の2012年における禁漁区のイワナの密度は、禁漁区Aで禁漁前の約2.8倍、禁漁区Bで約1.7倍であった。ただし、この増加は統計学的に有意ではなかった。1歳以上のイワナの全長の中央値を年度間で比較すると、遊漁区A、Bでは有意な増減傾向はみられなかったが、禁漁区A、Bでは有意に大きくなっており、それに伴い成熟魚の数も増加していた。成熟が確認された雌の個体数と標準体長から、調査区間における期待される産卵数(粒/m2)を計算し、年度間で比較したところ、禁漁区における増加が顕著で、最大で禁漁区Aでは禁漁前の約28倍、禁漁区Bでは約12倍となった。イワナの肥満度(体重g / 全長3 cm)は概ね9-10であり、禁漁区、遊漁区ともに経年的な増減傾向はみられなかった。このように、体サイズの大型化によって肥満度の低下は起きていなかった。イワナにおいて禁漁は、1歳以上のイワナの体サイズと成熟個体数を増加せしめ、産卵数を増加させうることが確認された。
[成果の活用面・留意点]
イワナでは減ってしまった資源を禁漁によって回復する効果があることが確認されたが、資源回復効果の程度は、河川によって変わってくることを認識しておくことが重要である。

また、禁漁の効果が高い河川の特徴として以下のことが挙げられる。

・自然環境は良いが、釣り人が多く、魚が減ってしまった河川。

・産卵が多くみられる河川(特に支流)。

 禁漁区であることが誰でもわかるように看板を設置する、こまめに監視を行う、等の河川管理を併せると、さらに効果的である。
[その他]
研究課題名:渓流資源増大技術開発事業(水産庁からの委託)

研究期間:平成24年度(平成20年度〜24年度)

予算区分:

研究担当者:重倉 基希(環境部)
[具体的データ]

図1 1歳以上のイワナ生息密度の経年変動



図2 1歳以上のイワナ全長の中央値の経年変動



図3 期待される産卵数の経年変動







[2013年の研究成果情報一覧] [研究情報ページに戻る]