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サワラ煮干しの開発
近年、日本海でサワラやサゴシ(サワラの幼魚)が多く漁獲されている。サワラは高級魚として取り扱われるのに対して、サゴシは安価で、飼料として利用されることが多い。そこで、サゴシの有効利用を目的とし、サゴシ煮干しの開発について研究したところ、サゴシ蒸煮煮干しは、良いダシが出ることで有名な、タイやトビウオよりもさらに強い旨みやコクがあることが分かった。
担当者名 (地方独立行政法人)鳥取県産業技術センター 食品開発研究所 食品技術科 連絡先 Tel.0859-44-6121
推進会議名 水産利用関係 専門 加工流通技術 研究対象 魚類 分類 普及
「研究戦略」別表該当項目 3(3)水産物の機能特性の解明と高度利用技術の開発
[背景・ねらい]
日本海でサワラが近年漁獲されるようになったが、地元での需要が少なく、鮮魚として岡山市場などに出荷されている。サワラは高級魚として取引されるが、サゴシは安価に取引されるため、漁獲されても、漁場で廃棄されることが多く、資源の有効利用が行われていない。本研究では、日本海で漁獲される付加価値の低いサゴシを用いて、脂質含有量が少ないという特性を積極的に活用できるサワラ煮干しの開発を行う。
[成果の内容・特徴]
1.脂質含有量の多い魚を用いて煮干しを作製した場合、脂の酸化、ダシの濁り等が生じるため、煮干しに用いる魚は脂質含有量が少ないことが求められる。そこで、脂質含有量を非破壊的に推察できる方法を検討した。平成20〜21年に鳥取県内で曳縄釣りまたは定置網で漁獲されたサワラまたはサゴシ40尾を用いた。魚体背側にディスティル社製ファットメーター(992-CDF)を当てて脂質含有量を測定するとともに、ソックスレー抽出法により脂質含有量を測定した。ファットメーターのアジ校正基準を用いて測定した結果が、ソックスレー抽出法で測定した結果と高い相関を示した(図1)。これにより、ファットメーターを用いて、非破壊的にサワラの脂質含有量を推察できることが分かった。

2.脂質含有量が1%程度の魚体を用いて、3%塩水で90℃5分間(塩水煮沸煮干し)、3%塩水、0.5%番茶で90℃5分間(番茶煮沸煮干し)、蒸し器を用いて15分間(蒸煮煮干し)加熱後、網に乗せ、ヤマト科学社製送風定温恒温器(DNF64)を用いて60℃で7日間乾燥させた(図2)。

3.鳥取県内で製造された各種煮干し(カタクチイワシ、ウルメイワシ、マイワシ、アジ、タイ、トビウオ、サバ)及び上記で作成したサワラ煮干し5gを200mlの蒸留水で10分間加熱し、ろ過したものをダシとした。インテリジェントセンサーテクノロジー社製味覚センサー(TS-5000Z)を用いて、ダシの味覚を測定した結果、旨みおよびコクにおいて有意な差が見られた(図3)。サワラ蒸煮煮干しのダシはトビウオやタイと同程度以上の旨みやコクがあることが分かった。


[成果の活用面・留意点]
・本研究により定置網等でやむを得ず漁獲されるサゴシの食材としての利用および、新たな地域特産加工品化が見込まれ、水産業を中心とする地域経済の活性化につながると思われる。

・漁獲量が減少しているトビウオに代わる、良いダシの出る煮干しとして活用が見込まれる。
[その他]
研究課題名:サワラ(サゴシ)の新規加工製品の開発

研究期間:平成21〜22年度

予算区分:県単

研究担当者:加藤愛、小谷幸敏

発表論文等:なし
[具体的データ]

図1 ファットメーター測定法とソックスレー抽出法による脂質含有量の相関


図2 サゴシ煮干し


図3 各煮干しでとったダシを味覚センサーで測定した際の旨味、コクの相対値

カタクチイワシのダシを0とする




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