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北海道太平洋沿岸域における海面クロロフィル濃度の季節変動と海洋環境との関係
 衛星リモートセンシングによる海面クロロフィル濃度データを用いて、北海道太平洋沿岸域のクロロフィル濃度を面的に捉え、これと調査船調査で得られた海洋環境との関係を調べた。その結果、襟裳岬より東側海域で西側よりも濃度が高く、とりわけ襟裳岬〜釧路沖までの海域で著しく濃度が高い傾向がみられた。この原因として、この海域にみられる春先の低塩分水が影響していることが示唆された。
担当者名 独立行政法人水産総合研究センター北海道区水産研究所 亜寒帯海洋環境部 海洋動態研究室 連絡先 Tel.0154-91-9136
推進会議名 北海道ブロック 専門 漁場環境 研究対象 リモートセンシング 分類 研究
「研究戦略」別表該当項目 5(2)主要水産資源の調査及び海洋環境等の長期モニタリング
[背景・ねらい]
 北海道太平洋沿岸域は生物生産が高く、スケトウダラをはじめ多くの魚種が漁獲される水産上重要な海域である。この高い生物生産を支えるのは植物プランクトンによる基礎生産であるが、その指標であるクロロフィル濃度は、北海道東部の厚岸沖では3月に増え始め4月にピークとなる顕著な季節変動を示す。しかし、北海道太平洋沿岸域は東西に広く、沿岸親潮水や宗谷暖流変質水などが入り交じり複雑な海洋構造を呈するため、クロロフィル濃度の季節変動は厚岸沖と同じとは限らない。そこで本研究では、1990年代後半から登場した衛星リモートセンシングによる海面クロロフィル濃度データを用いて、北海道太平洋沿岸域のクロロフィル濃度の時空間分布を把握した。また、これと同海域における調査船調査で得られた海洋環境データを比較し、クロロフィル濃度分布と水塊構造との関係を調べた。
[成果の内容・特徴]
 海面クロロフィル濃度は3月になると海域全体で徐々に増え始め、4月になると大幅な上昇がみられた。襟裳岬より東側海域で西側より濃度が高い傾向があり、とりわけ襟裳岬〜釧路沖までの海域で著しく濃度が高く、8μg/l以上になる海域もみられた(図1)。北海道太平洋沿岸域にはこの時期に低温低塩分水で特徴付けられる沿岸親潮水が分布するが、塩分分布の4月の月平均場をみると、とりわけ襟裳岬〜釧路沖では、釧路沖以東の海域と比較して著しく低塩分になる傾向がみられており(図2)、この低塩分水がこの海域における4月の著しく高い海面クロロフィル濃度の分布に関わっている可能性が示唆された。
[成果の活用面・留意点]
1)北海道太平洋沿岸域における海面クロロフィル濃度の月ごとの平年値を示した。

2)当該海域におけるクロロフィル濃度分布の変動要因を明らかにするには、海洋物理場の把握に加え、栄養塩や動物プランクトンなどのモニタリングが不可欠である。
[その他]
研究課題名:スケトウダラ太平洋系群の卵期から着底期における海洋環境と低次生産の中長期変動の解明研究期間:平成18〜22年

予算区分:資源動向要因分析調査

発表論文等:

研究担当者:日下彰・亀田卓彦・葛西広海

北海道太平洋沿岸域における海面クロロフィル濃度の季節変動と海洋環境との関係 2010年度水産海洋学会研究発表大会講演要旨集、p.XXX 

日下彰・亀田卓彦・葛西広海

スケトウダラ太平洋系群の卵期から着底期における海洋環境と低次生産の中長期変動の解明、平成22年度資源動向要因分析調査報告書、p.XXX-XXX 
[具体的データ]

図1 1997年9月〜2007年4月の衛星データから求められた北海道太平洋沿岸域における海面クロロフィル濃度の水平分布

クロロフィル濃度は3月に増え始め、4月にピークに達する。襟裳岬より西側よりも東側の海域で濃度が高くなる傾向がみられ、襟裳岬の東側でも特に襟裳岬〜釧路沖にかけて著しく濃度が高くなる。

図2 北海道東部太平洋沿岸域における10m深の塩分の時空間分布の月別の平均場。

襟裳岬〜釧路沖にかけての海域では、4月〜5月に33.0以下の著しく低塩分な水塊が分布する。




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