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ウグイ人工産卵床の造成技術と増殖効果
ウグイ人工産卵床の造成技術を開発し、産卵床造成による種苗供給効果を算定した。産卵床造成における重要なポイントは、産卵床の脇に100cm/秒前後の早い流れがあること、礫底に藻類や泥の付着がないこと、礫の間を流れる間隙流が存在することであった。産卵床造成1m2あたりの種苗供給効果は、生まれ年の冬の稚魚(満0年魚、約1 g)で約9,000尾、翌年春の稚魚(満1年魚、約5 g)で約700尾と算定された。
担当者名 長野県水産試験場 佐久支場   連絡先 Tel.0267-62-0162
推進会議名 内水面 専門 増養殖技術 研究対象 他の淡水魚 分類 普及
「研究戦略」別表該当項目 1(2)水産生物の効率的・安定的な増養殖技術の開発
[背景・ねらい]
ウグイは、第5種共同漁業権魚種に含まれており、義務増殖の履行方法として放流が行われている。しかし、放流用種苗の入手の難しさ及び遺伝的多様性の保全の観点から、放流以外の増殖方法の開発が求められている。
[成果の内容・特徴]
1 野外調査及び産卵実験から分かったウグイ産卵床の主な条件は、産卵床の脇に100cm/秒前後の早い流れがあり、礫底に藻類の付着や泥の堆積がなく、礫間を流れる間隙流が生じていることであった。

2 長野県千曲川の付け場における出漁1回、産卵床1m2あたりの平均採集卵数は約11万粒で(図1)、卵の採集効率0.9(岡田・田中、1991)を考慮すると、造成産卵場1m2あたりの産着卵数は12万粒と算定された。

3 産着卵の平均受精率(活卵率)は90%で、産卵床環境を模した実験条件下での受精卵のふ化率は約65%であり、ふ化仔魚の浮上率は約90%であった。

4 飼育実験における浮上から当年冬までの満0年魚の生残率は、放養密度の上昇にともなって低下したが、野外(千曲川)のウグイに近い成長がみられた低密度区では15%であった(図2)。

5 上記の生残係数および既往知見を考慮して算出された産卵床造成1m2あたりの種苗供給効果は、生まれ年の冬の稚魚(満0年魚、約1 g)で約9,000尾、翌年春の稚魚(満1年魚、約5 g)で約700尾であった(表1)。
[成果の活用面・留意点]
1 内水面漁業協同組合が義務増殖を行うための技術資料として、また内水面漁場管理委員会が目標増殖量を算定する際の基礎資料として活用できる。

2 河川の流れを変えたり石の移動等は河川法上の「河川の現状変更」にあたり、原則的に河川管理者の許可が必要となるため、事前に河川管理者に相談する必要がある。
[その他]
研究課題名:生態系に配慮した増殖指針作成事業

研究期間:平成19〜21年度

予算区分:中央水産研究所からの委託(健全な内水面生態系復元等推進委託事業)

研究担当者:熊川真二(平成19〜20年度)、小関右介(平成21年度)

発表論文等:第57回日本生態学会(2010)講演発表
[具体的データ]




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