水産研究成果情報検索結果




北日本ヤリイカに関する流通構造と評価の変化
ヤリイカ(Loligo bleekeri, ツツイカ目ヤリイカ科)は、青森県日本海側を中心に高価格商材として漁家経営に期待のかかる魚種である。このことから、その独自の流通構造および市場における品質上評価の様相と変化の要因を定量的に提示することを試みることとし、その関連性を明らかにしたうえで単価上昇に係る有効な対策の提示に資するための考察として整理を行った。
担当者名 青森県水産総合研究センター 増養殖研究所 魚類部  連絡先 Tel.017-755-2155
推進会議名 東北ブロック 専門 水産経済 研究対象 やりいか 分類 研究
「研究戦略」別表該当項目 3(2)効率的かつ安全な流通・消費技術の開発
[背景・ねらい]
 青森県日本海側の重要魚種であるヤリイカは、イカ類の中では高価格商材という位置付けであり、近年、漁獲量の減少もさることながら価格の低減という課題を抱えており、漁業者や漁協が自ら流通および販売に乗り出す機運が高まってきた。このマーケティングの試みに資する目的で、ヤリイカの流通機構の把握と市場における評価の実際について明らかにすることとした。
[成果の内容・特徴]
1. 消費地市場においてヤリイカ単価の低下傾向が確認され、従来、ヤリイカ価格を高支えしてきた札幌市場においても全国的な価格下落と同様の傾向が確認された(図1)。

2. 主要出荷市場である札幌市場で価格低下がすすんだ契機として、従来、1月頃は入荷条件を得なかった生鮮スルメイカの入荷が潤沢となり、生鮮イカ価格を低位に代替したことが想定された。すなわち当該期に西日本を中心に形成されてきた漁獲-水揚が、北日本においても一定程度形成されることにより生じたものと推測された(図2)。

3. 冬季の札幌市場における生鮮イカ価格形成要因がヤリイカに代りスルメイカの入荷量に規定されるようになったことが確認された(図3)。この変化は、ヤリイカの流通上の評価概念が量販店への供給体系の上に形成されてきたことによるもので、品質の差異を評価するよりも定量確保の上で低価格商材への方向性が速やかに選択された考えられた。

4. ヤリイカ流通においては、消費地市場卸と県内の産地特定仲買、県央部に所在する有力水産物流通業者との間に量販店への安定供給のための需給調整機能が設定され、流通体系の中心を為していることが確認された(図4)。


[成果の活用面・留意点]
 生産現場ではヤリイカ単価水準の向上を切望しているが、流通構造と評価の変化を鑑みれば速やかに価格が上昇する条件にはない。単価上昇を模索する要件として、現実的には既存流通体系を維持し、これを阻害しない第三者との連携において付加価値を得る取り組みが求められた。これを受けて、九州を拠点とした活魚物流に参画し東アジアも意識しながら価格を高位安定させる取り組みが始められている。
[その他]
研究課題名:青森ヤリイカブランド化推進事業

研究期間:平成17年から平成18年

予算区分:青森県単独事業

研究担当者:廣田将仁、伊藤欣吾

発表論文等:青森県水産総合研究センター研究報告(投稿予定)
[具体的データ]




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