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スケトウダラ日本海北部系群および太平洋系群に対する水温依存型再生産モデルの適用
スケトウダラ日本海北部系群および太平洋系群の加入量に対する水温と親魚量の影響を、水温依存型再生産モデルを用いて検討した。その結果、日本海北部系群の加入量は、2月の水温が低い方が増加するのに対し、太平洋系群の加入量は、2月の水温が高い方が増加することが明らかとなった。また、日本海北部系群の加入量は、親魚量の増加に伴い非密度依存的に増加すると考えられた。
担当者名 独立行政法人水産総合研究センター北海道区水産研究所 亜寒帯漁業資源部 資源評価研究室 連絡先 Tel.0154-92-1714
推進会議名 北海道ブロック 専門 資源評価 研究対象 すけとうだら 分類 研究
「研究戦略」別表該当項目 1(1)水産資源の持続的利用のための管理技術の開発
[背景・ねらい]
現在、スケトウダラ日本海北部系群と太平洋系群の資源水準はともに低位にあるが、この主な原因は加入量の減少である。このため、漁業者や行政府などから、両系群の加入量変動メカニズムの解明が切望されている。また、精度の高い資源管理を行なうためには、精度の高い加入量予測が不可欠である。これには、加入前の定量調査やモデルによる加入量予測が有効であるが、両系群に関しては未だ加入量予測モデルは開発されていない。そこで本研究は、両系群の加入量予測モデルを開発することにより、(1)高精度な加入量予測を可能にする、(2)加入量変動メカニズムの解明に貢献することを目的とした。
[成果の内容・特徴]
日本海北部系群の加入量変動は、2月の北海道日本海の表面水温を組み込んだ再生産モデルによって精度高く再現された(図1)。また、太平洋系群の加入量変動も、2月の北海道太平洋岸の表面水温と、4月の東北沖の表面水温を組み込んだ再生産モデルによって精度高く再現された(図2)。ここで、日本海北部系群に関しては、加入量(対数:水温を組み込まない再生産モデルからの残差)と2月の表面水温が負の直線関係を示したのに対し(図3)、太平洋系群に関しては正の直線関係を示したため(図4)、日本海北部系群の加入量は2月の水温が低い方が増加するのに対し、太平洋系群の加入量は2月の水温が高い方が増加することが明らかとなった。また、日本海北部系群の加入量(対数)は、親魚量と正の直線関係を示したため、日本海北部系群の加入量は、親魚量の増加に伴い非密度依存的に増加すると考えられた。
[成果の活用面・留意点]
・両系群の加入量が2月の水温と密接な関係にあることが明らかになったことから、加入量変動メカニズムの解明に向けて、今後より焦点を絞った調査や解析が可能になる。

・日本海北部系群の加入量が、親魚量の増加とともに非密度依存的に増加することから、今後資源管理を行なう上で、親魚量回復の必要性が科学的に示された。

・水温依存型再生産モデルにより両系群の加入量変動は精度高く再現されたが、本モデルでは水温と加入量の間に直線関係を仮定している。今後は、資源動向要因分析調査などから提供される新たな環境データセットなども利用するとともに、一般化加法モデルなどの非線形性も扱えるモデルへの展開が必要である。


[その他]
研究課題名:スケトウダラ等重要資源の加入量早期把握に基づく資源評価精度の向上

研究期間:平成18年〜22年

予算区分:交付金(一般研究)

研究担当者:船本鉄一郎、森賢、本田聡、千村昌之、山下紀生

発表論文等:Temperature-dependent stock-recruitment model for walleye pollock (Theragra chalcogramma) around northern Japan. [Fisheries Oceanography 16: 515-525. (2007)] ほか3件
[具体的データ]

図1.スケトウダラ日本海北部系群の加入量(対数:VPA結果)と水温依存型再生産モデルによる再現値



図2.スケトウダラ太平洋系群の加入量(対数:VPA結果)と水温依存型再生産モデルによる再現値



図3.スケトウダラ日本海北部系群の加入量(対数:水温を考慮しない再生産モデルからの残差)と2月の北海道日本海の表面水温の関係



図4.スケトウダラ太平洋系群の加入量(対数:水温を考慮しない再生産モデルからの残差)と2月の北海道太平洋岸の表面水温の関係






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