水産研究成果情報検索結果




南三陸岩礁域におけるアラメ群落退行とキタムラサキウニとの関係
1999年〜2001年にかけて宮城県牡鹿半島岩礁域のライン調査を行い,褐藻アラメと植食動物キタムラサキウニの分布密度を調べた。アラメ群落は調査した2年間で沖側から11m退行し,群落の縮小が認められた。アラメ群落の下限以深にもアラメ幼体の出現は認められたが,これらは成体まで生残せず,キタムラサキウニの高い摂食圧がアラメ幼体の生残を阻害し,群落の退行を引き起こしていると考えられた。
担当者名 独立行政法人水産総合研究センター東北区水産研究所 海区水産業研究部 海区産業研究室 連絡先 Tel.022-365-9933
推進会議名 東北ブロック 専門 資源生態 研究対象 藻類(顕花植物を含む) 分類 研究
「研究戦略」別表該当項目 4(1)漁場環境の保全と基礎生産力向上のための技術開発
[背景・ねらい]
南三陸沿岸岩礁域に存在するアラメ群落が沖側から退行するという現象が1980年代より確認・報告されている。多年生褐藻であるアラメは主に秋から冬にかけて成熟し,遊走子を放出する。発芽した幼体(当歳体)は成長し,約1年後に成体となってアラメ群落の維持・拡大に寄与する。群落の減少は,アラメ等の海藻を餌料とするウニ・アワビ類などの漁獲にも影響を与えることから,群落退行の機構を明らかにする必要があるが,その詳細なメカニズムは明らかになっていない。本課題では,宮城県牡鹿半島岩礁域においてアラメと植食動物,特にキタムラサキウニの分布密度を調べることにより,群落退行とキタムラサキウニによる被食との関係を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
1999年〜2001年にかけて150mの固定ラインを岸側(0m地点;水深2m)から沖側(150m地点;水深9m)へ設置し,潜水調査を実施した。1999年8月,アラメ群落は固定ラインの64m地点まで存在していたが,2001年7月にはその下限界は53m地点になっており,2年間で沖側から11mの群落退行を確認した(図1)。2000年7月から2001年7月までの遷移をみると,アラメ幼体の発生は群落下限以深でも見られたが(2000年7月),これらは成体まで生残せず(2001年2月),既存成体の流失に伴って退行が進行した。キタムラサキウニは群落下限以深に多くが分布し、年を経るごとにその生息密度が上昇し、その生息範囲はアラメ群落の下限域退行に伴いアラメ群落内部へと拡大する傾向が認められた(図2)。以上の結果から,キタムラサキウニの高い摂食圧がこの地点におけるアラメ幼体の生残を阻害し,ひいては群落の退行を招いていると推察された。
[成果の活用面・留意点]
活用面:

アラメ群落退行の一要因が推察され,効果的な群落回復方法(キタムラサキウニの除去等)の選択に貢献

留意点:

1.キタムラサキウニの摂餌活動に影響を及ぼす水温変動等を含めた長期観察が必要

2.小型植食性巻貝など他の植食動物の影響についても検討が必要


[その他]
研究課題名:「混合域・黒潮域の藻場におけるCO2収支の把握(交付金プロ)」他

研究期間:平成20年度(H11-H20)

予算区分:運営交付金

研究担当者:村岡大祐・斉藤憲治(東北区水産研究所)

発表論文等:MURAOKA, D. Eisenia bicyclis bed coverage off Oshika Peninsula, Japan, in relation to sporophyte survival and Strongylocentrotus nudus abundance. J. App. Phycol. (2008) 20:845-851.
[具体的データ]



図1. 固定ライン上10mごとのアラメ成体(■)および幼体(□)の分布密度。矢印および数値は各調査時点におけるアラメ成体の分布下限(群落下限)位置を示す。




図2. 固定ライン上10mごとのキタムラサキウニの分布密度(■:殻径4cm以上,□:殻径4cm未満)。矢印および数値は各調査時点におけるアラメ成体の分布下限(群落下限)位置を示す。







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