水産研究成果情報検索結果




日高川およびその周辺海域におけるアユの資源変動
日高川およびその周辺海域においてアユの資源量を調べ,その変動要因を考察した.資源水準の高かった1980年以前は,流下仔魚数が主要な変動要因となっていた可能性が高いが,近年では海域での生残率が主要な変動要因であると考えられる.また,10月(産卵期)にまとまった雨が降ると河川回帰率が上昇し,11-12月の雨により流下仔魚数が増加することが明らかになった.
担当者名 和歌山県農林水産総合技術センター 水産試験場 内水面試験地  連絡先 Tel.0736-66-0171
推進会議名 内水面 専門 資源生態 研究対象 あゆ 分類 研究
「研究戦略」別表該当項目 1(1)水産資源の持続的利用のための管理技術の開発
[背景・ねらい]
アユは和歌山県において重要な漁業・観光資源であるが,近年,資源量の減少が著しい.アユの遡上量予測や資源の回復・安定化策を講じるためには,資源変動要因の解明が重要である.和歌山県では海産稚アユの採捕量データが揃っており,また,海産稚アユ採捕区域のほぼ中心部に流入する日高川では流下仔魚や遡上稚魚の調査が継続されている.これらの資源データと環境条件との関係から資源変動様式の変遷を調べるとともに,特に近年(1998年以降)の資源変動要因について考察した.
[成果の内容・特徴]
1 流下仔魚数・海産稚アユ採捕量・遡上稚魚数は1982年付近を境に大きく減少し,それ以降,1980年以前のような大きな資源変動は認められなくなった(図1).

2 資源水準の高かった1978年から低水準の2007年までの全体としてみると,流下仔魚数と遡上稚魚数には正の相関がある(図2A).しかし,近年の低水準期だけでみると,遡上稚魚数には約37-466万尾という変動があるが,流下仔魚数と遡上稚魚数に有意な相関は認められない(図2B).すなわち,近年の低水準期における遡上稚魚数の変動を説明する上で,海域での生残率変動が流下仔魚数の変動よりも相対的に大きな意味を持つと考えられる.

3 産卵期(10月)の雨の重要性については,「産卵場が綺麗に洗われ,産卵が好調となる」点がこれまで特に強調されてきた.しかし近年の日高川において,産卵期の雨には総流下仔魚数を増加させるという働きは認められず(図3), 11-12月の雨が多いほど総流下仔魚数は増加する傾向にあった(図4).一方,産卵期のまとまった雨には河川回帰率を向上させる働きが顕著に認められた(図5).


[成果の活用面・留意点]
本研究および浅海域におけるプランクトン調査とアユ仔稚魚の成長解析から,「10月のまとまった雨により河川から添加される栄養塩量が増加し,アユ仔稚魚成育場である浅海域での植物プランクトン発生量も増加,次いで仔稚魚の餌となる橈脚類の発生量も増加して,生残率が向上する」という仮説が立てられた.信頼できるアユ遡上量予測やアユ資源の回復・安定化策の検討を行うためには,アユ資源変動メカニズムの解明を各地域で行っていく必要がある.
[その他]
研究課題名:アユ資源モニタリング事業,先端技術を活用した農林水産研究高度化事業(沿岸域におけるアユの生態特性の解明及び遡上量予測技術の開発)

研究期間:平成17年度〜19年度

予算区分:県単事業,中央水研からの委託

研究担当者:原田慈雄,藤井久之,加藤邦明

発表論文等:なし
[具体的データ]




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