水産研究成果情報検索結果




渓流漁場におけるキャッチアンドリリース(C&R)区設置の成功要因と課題
渓流漁場でのC&R区設置の成功要因と課題をアンケート調査に基づき解析した。専任管理者等により管理運営された漁場にはマナーの良い遊漁者が集まり、自主的な啓発活動等によって遊漁者全体の意識改革が進むと考えられた。法制度上の問題を内包する事例もあり行政による制度的改善も望まれるが、漁協等設置者がC&R区における資源増殖について明確に示しておくことも重要であると考えられた。 
担当者名 長野県水産試験場 環境部  連絡先 Tel.0263-62-2281
推進会議名 内水面 専門 資源評価 研究対象 さけ・ます類 分類 行政
「研究戦略」別表該当項目 4(3)地域活性化のための手法の開発及び多面的機能の評価・活用技術の高度化
[背景・ねらい]
 C&R区は渓流漁場のゾーニング管理の一手法であり、設置を望む漁協は多い(図1)。漁協等漁場管理者にアンケート調査を行い(図2,3)、C&R区設置の成功要因を解析し今後の課題について検討した。
[成果の内容・特徴]
 C&R区は全国に43漁場が確認された。そのうち分析可能な回答が得られた34漁場について、遊漁者数が増加傾向(11漁場)、減少傾向(12漁場)、横ばい(11漁場)の3区分に分類し、コレスポンデンス分析によりそれぞれの区分の特徴を抽出した(図4)。

 遊漁者数が増加傾向のC&R区の特徴として、遊漁規則への規定や専任管理者による漁場運営などがあげられた。これらの漁場では、漁協等設置者と遊漁者との間に良好な協力関係が構築され、地元住民や商工会等との協力による清掃やボランティア監視も行われていた。また、遊漁者のマナーが向上し密漁が減少、結果として資源が増加し産卵の増加が見られた。冬期中心の管理釣り場の事例も含め、通常より高い遊漁料の漁場が多かった。

 遊漁者数が減少傾向のC&R区では、密漁や持ち帰りがあり増殖効果が見られていなかった。また、餌釣りを可とすることによるルアーやフライ釣り師とのトラブルも指摘された。

 遊漁者数が横ばいの漁場の特徴は減少傾向の漁場と基本的には同様であったが、遊漁者の発案で設置されたという経緯や地元住民・行政等の支援があることによって遊漁者数が減少しないと考えられた。

 C&R区設置の成功要因として、遊漁規則への規定、専任管理者による漁場運営、協力体制の確立などが抽出された。このような漁場にはマナーの良い遊漁者が集まり、自主的な啓発活動や相互監視等によって遊漁者全体の意識改革が醸成されることが成功事例の中に示されていると考えられた。
[成果の活用面・留意点]
 成功事例には法制度上の問題を内包する場合があり行政による制度的改善が望まれる。また、漁協等設置者が資源維持や増殖について明確に示しておくことも重要である。具体的課題を以下に例示した。

・地域の団体やNPO、民間業者等への管理委託について、現行の漁業権制度上で許容される運営委託の 範囲を行政が明らかにしておく必要がある。

・特別採捕許可に基づく調査などの手法によって漁場を周年利用する事例では、水系全体としての増殖計 画など資源保護に対する考え方を特採申請者が明示する必要がある。
[その他]
研究課題名:渓流域管理体制構築に係る調査研究(水産庁からの委託)

研究期間:平成19年度(平成15年度〜19年度)

研究担当者:武居 薫(環境部)

発表論文等:全国湖沼河川養殖研究会第81回大会(2008)研究発表
[具体的データ]




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