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ホタテガイ稚貝へのコノハクラゲの共生とその影響
平成15年秋に噴火湾で起きた稚貝の大量へい死時に、ヒドロ虫のコノハクラゲが大量に稚貝に共生している事が初めて観察された。共生は直接的なへい死要因ではないが、共生個体では殻長成長が43%、中腸腺の中性脂肪の蓄積が24〜47%低く、共生は大きなストレス要因である。養殖施設に生息している2齢以上の主宿主であるムラサキイガイが感染源と考えられるので、施設の定期的な清掃が有効な防除策である。
担当者名 北海道立函館水産試験場 調査研究部 栽培技術科 連絡先 Tel.0138-57-5998
推進会議名 北海道ブロック 専門 資源生態 研究対象 ほたてがい 分類 研究
「研究戦略」別表該当項目 1(3)水産生物の生育環境の管理・保全技術の開発
[背景・ねらい]
噴火湾ホタテガイ養殖において、平成15年に稚貝の大量へい死が起きた。この時のへい死要因調査で、ヒドロ虫のコノハクラゲが稚貝に大量に共生している事が初めて発見された。コノハクラゲの共生と大量へい死との関係を明らかにするために、コノハクラゲの生態調査と稚貝への直接的影響調査を実施した。
[成果の内容・特徴]
【コノハクラゲ生態】1) 感染経路:コノハクラゲはホタテガイ成貝(耳つり貝)にはほとんど共生しない。また、耳つりホタテガイの殻上等に生息しているムラサキイガイには共生していない。これらの事から、コノハクラゲは清掃されていない養殖施設に生息している主宿主のムラサキガイからホタテガイ稚貝へ感染すると考えられる(図1)。2) 共生状況年変動:ホタテガイ稚貝への共生状況の年変動は大きい。過去5年のうち大量共生は平成15, 18年、小規模共生は平成16, 17, 19 年であった(図2)。3) 共生状況季節変動:共生の拡大は非常に早く、ポリプの増殖速度も非常に速い。一方、水温低下後の共生率の低下とポリプの脱落も非常に早い(図3、4)。

【コノハクラゲ共生の稚貝への影響】1) 殻長成長への影響:共生は稚貝の殻長成長を43%程度阻害した(図5)。2) 栄養蓄積状況への影響:共生は稚貝の中腸腺の中性脂肪の蓄積を24〜47%低下させた(図6)。


[成果の活用面・留意点]
平成18年の大量共生時には稚貝の大量へい死は起きなかった。したがって、コノハクラゲの共生は稚貝の直接的へい死要因ではない。ただし、成長や栄養の蓄積状況には影響しており、コノハクラゲの共生は稚貝にとって大きなストレスである。噴火湾におけるコノハクラゲの主宿主はムラサキイガイであるが、0齢(小型)のムラサキイガイには共生しない事がわかっている。また、ホタテガイの成貝やその殻上等に生息するムラサキイガイには共生していない。これらのことから、主要な感染源は養殖施設に生息している2齢以上の主宿主ムラサキイガイと考えられるため、施設の定期的な清掃が有効な防除策と考えられる。
[その他]
研究課題名: ホタテガイに共生するコノハクラゲの生態及びホタテガイへの影響調査

研究期間:平成18年度〜20年度

予算区分: 道単

研究担当者:北海道立函館水産試験場 調査研究部 (現水産試験場)

発表論文等: Baba K, Miyazono A, Matsuyama K, Kohno S, Kubota S (2007) Occurrence and detrimental effects of the bivalve-inhabiting hydroid Eutima japonica in Funka Bay, Japan: relationship to juvenile massive mortality in 2003. Mar Biol 151:1977–1987.

馬場勝寿・宮園彰 (2006) コノハクラゲ(Eutima japonica)共生のホタテガイ稚貝への影響. 平成18年日本水産学会春季大会講演要旨744

[具体的データ]




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