水産研究成果情報検索結果




麻痺性貝毒プランクトンのシスト(タネ)の分布から貝毒の発生頻度を推定する
シスト現存量が高い海域ほど,過去に麻痺性貝毒の発生頻度が高い傾向が、そして、年間最高毒性値が高い傾向がみられた。海域別のシスト現存量は,貝毒発生の頻度と規模を大まかに指標する数値であることが明らかとなった。
担当者名 北海道立中央水産試験場 海洋環境部 環境生物科 連絡先 Tel.0135-23-7451
推進会議名 北海道ブロック 専門 赤潮・貝毒 研究対象 植物プランクトン 分類 研究
「研究戦略」別表該当項目 3(1)安全・安心な水産物の供給技術の確立
[背景・ねらい]
北海道では太平洋からオホーツク海側にかけての各地で麻痺性貝毒が発生し,漁家経営に損害をもたらしている。北海道における麻痺性貝毒の原因はAlexandrium tamarenseという渦鞭毛藻の一種である(図1)。本種はプランクトンとして出現するほか,シスト(休眠接合子,つまり「タネ」)を作って海底に沈む性質を持つ(図2)。従って,過去に麻痺性貝毒が頻発,すなわちA. tamarenseが頻繁に増殖した海域ほど,シストが多く分布するはずである。そこで,シストの現存量と,過去の麻痺性貝毒の発生頻度との関係を海域別に検討した。また,シスト現存量と年間最高の毒性値との関係についても検討した。
[成果の内容・特徴]
北海道周辺を便宜的に7海域に区分して,1999〜2000年に得られたシスト現存量(図3)と,過去21年間(1980〜2000年)に国の定める規制値(4マウスユニット/可食部)を超える麻痺性貝毒が発生した年の割合(発生年数÷21)を海域別に検討し,双方の間に有意な相関関係があるかどうかを調べた(表1,図4-a)。また,シスト現存量と年間最高毒性値の過去21年間の平均値との関係についても,同様に調べた(表1,図4-b)。その結果は(1)シスト現存量が高い海域ほど,過去に麻痺性貝毒の発生頻度が高い傾向がみられた。(2)シスト現存量が高い海域ほど,年間最高毒性値が高い傾向がみられた。

(3)海域別のシスト現存量は,貝毒発生の頻度と規模を大まかに指標する数値であることが明らかとなった。


[成果の活用面・留意点]
麻痺性貝毒プランクトンのシスト現存量から,麻痺性貝毒発生の頻度と規模を,海域別に大まかに推定できることが明らかとなった。これにより,貝の毒性値および貝毒プランクトンの監視を,シストの現存量が高い海域で重点的に実施することが可能となると考えられる。
[その他]
研究課題名:麻痺性貝毒原因プランクトンシストの広域分布調査

研究期間:平成11〜12年度、平成16〜17年度

予算区分:道単

研究担当者:中央水産試験場 海洋環境部 嶋田 宏

発表論文等:水産試験研究最新成果集(海・川・魚を科学する)Vol.6 北海道立水産試験場・水産ふ化場 2006.3

Horizontal distribution of toxic Alexandrium spp.(Dinophyceae) resting cysts around Hokkaido, Japan:Hiroshi SHIMADA and Akira MIYAZONO, Plankton Biol. Ecol. 52(2) 76-84 2005

北海道週辺の麻痺性貝毒プランクトンシストの分布地図:嶋田 宏 北水試だより 54 19-22 2001.10

[具体的データ]




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