水産研究成果情報検索結果




2005、2006年に見られたスルメイカ冬季発生系群の再生産成功率低下要因の検討
冬季の東シナ海で再生産を行うスルメイカ冬季発生系群の再生産成功率は、2005、2006年と連続して低下し、漁獲量減少などの影響が出た。その要因を、稚仔調査および新規加入量調査結果を解析することで検討した。解析の結果、再生産成功率低下の要因は、日本海からの南下回遊パターンの変化による産卵期の遅延が主要因であると推測された。
担当者名 独立行政法人水産総合研究センター北海道区水産研究所 亜寒帯漁業資源部 浮魚・頭足類研究室 連絡先 Tel.0154-92-1715
推進会議名 北海道ブロック 専門 資源生態 研究対象 するめいか 分類 行政
「研究戦略」別表該当項目 1(1)水産資源の変動機構の解明と予測手法の開発
[背景・ねらい]
東北・北海道太平洋沿岸域や冬季の日本海で漁獲されるスルメイカは、東シナ海で再生産を行う冬季発生系群が主体である。この再生産成功率(加入量÷親魚量)が2005、2006年と連続して低下し、資源量および漁獲量の減少が生じている(図1)。スルメイカの資源変動は極めて大きいことが知られており、その変動は漁業による影響だけではなく、気候変化が再生産の成否に影響して起きる可能性が指摘されている。そこで、近年の再生産成功率低下要因に関して、環境変化による再生産状況の変化に着目し、検討を行った。
[成果の内容・特徴]
2月の東シナ海から九州南方における稚仔調査で推定された孵化幼生の分布密度と産卵親イカ尾数との関係は1996〜2004年は非常に高い相関が見られたが、2005年以降はその関係に変化が見られた(図2)。そのため、2005、2006年の再生産過程は2004年以前とは異なる状況が生じたと推測された。一方、5月に東北沖の黒潮親潮移行域で実施した新規加入量調査で漁獲された幼体の分布密度は2005年以降も高水準であったが、外套背長10cm以上の大型個体は減少していた(図3)。採集数が多い5cm以下の個体は、平衡石に見られる日周輪の解析の結果、発生月が2〜4月と推定されている。以上の結果、2005、2006年の産卵期が2004年以前と比較して1〜2ヶ月程度遅れたと推測された。この要因として、日本海における産卵回遊の変化が想定された。2005年1月の日本海の表面水温は平年より高く、2006年1月は逆に平年より低かった。また、日本海での漁獲状況もこの2年間には特異的な状況が確認されている。これらのことから、日本海における海洋環境の変化に伴い、産卵回遊経路や回遊時期が変化し、その結果として産卵期が遅れ、再生産成功率が低下したと推測された。
[成果の活用面・留意点]
スルメイカの資源変動は資源水準の大幅な変化を伴う中長期的な変動と、資源水準の変化が小さい短期的(1〜数年)な変動に区分される。短期的変動要因として孵化後の生残率変化が想定され、中長期的変動要因として環境変化に伴う産卵過程の変化が想定されている。2005、2006年に見られた産卵期の変化は中長期的変動要因に含まれる事例であり、今後の資源動向を注意深く見守る必要がある。
[その他]
研究課題名:太平洋側に来遊するスルメイカの発育段階別分布量推定手法の開発スケトウダラ等重要資源の加入量早期把握に基づく資源評価精度の向上

研究期間:平成13年〜17年、平成18年〜22年

予算区分:交付金

研究担当者:森 賢

発表論文等:森 賢・木所英明・桜井泰憲(2006)スルメイカ資源の長期変動との関係,水産海洋学会地域研究集会で口頭発表.
[具体的データ]




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