水産研究成果情報検索結果




北太平洋・ベーリング海におけるサケとベニザケの生息範囲
北太平洋・ベーリング海におけるさけ・ます資源調査データから、サケとベニザケの漁獲の有無とその時の水温・塩分を調べた。サケとベニザケの生息する水温の上・下限と塩分の上限が見いだされた。サケはベニザケに比べ生息する水温・塩分範囲は広く、亜熱帯水域まで分布していた。一方、ベニザケは生息する水温・塩分範囲は狭く亜寒帯水域とアラスカ湾に分布し、移行領域以南には分布しなかった。
担当者名 独立行政法人水産総合研究センター北海道区水産研究所 亜寒帯海洋環境部 海洋動態研究室 連絡先 Tel.0154-92-1722
推進会議名 北海道ブロック 専門 資源生態 研究対象 さけ・ます類 分類 研究
「研究戦略」別表該当項目 8(1)高度回遊性及び外洋性資源の生物特性の解明と持続的利用技術の開発
[背景・ねらい]
溯河性魚類であるさけ・ます類(Oncorhynchus spp.)は北太平洋・ベーリング海に広く分布しその分布範囲は、水温・塩分、餌環境によって影響されるといわれている。また、その分布南限の水温は季節と海域によって異なることが報告されている。しかし、これまで外洋域におけるさけ・ます類の分布と環境要因、特に塩分との明確な関係は報告されていない。本研究では、さけ・ます資源調査と同時に海洋観測された資料を用いて、北太平洋およびベーリング海におけるサケとベニザケの分布と物理環境との関係を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
サケとベニザケの漁獲の有無と水温・塩分をT-Sダイヤグラム上にそれぞれ示す(図1,2)。ある水温を境界にサケとベニザケが分布しない水温の上・下限水温があり、適水温であってもある塩分以上でサケ・ベニザケが分布しなくなる上限塩分が観察された。

・サケの上・下限水温と上限塩分はそれぞれ15.57℃、2.73℃、34.45psu を示し、サケはベニザケに比べ分布する水温・塩分範囲は広く、亜熱帯水域まで分布していた。

・ベニザケの上・下限水温と上限塩分はそれぞれ13.3℃、3.28℃、33.46psuで、移行領域以北の亜寒帯水域とアラスカ湾に分布するが、移行領域の南海域では分布していなかった。

・これら条件と気候値を用いて、ベニザケの分布域の季節変化を調べると、冬・春・秋季の西部北太平洋では塩分が分布の南限を規定していたが(図3)、夏季には水温によって分布の南限が規定されていた(図4)。
[成果の活用面・留意点]
(1)塩分がサケとベニザケの分布を規定していることをはじめて指摘した。しかし、塩分が海洋環境を介して餌生物の分布に影響を及ぼしているのか、魚体に直接生理的に影響を及ぼしているのか不明である。今後そのための調査が必要である。

(2)気候変動に対するサケ・ベニザケの分布回遊・成長モデルを考えるときの基礎資料となる。
[その他]
研究課題名:日本系サケの発育段階別分布量推定手法の開発

研究期間:平成13年〜17年

予算区分:交付金

研究担当者:北海道水産研究所 亜寒帯海洋環境部 海洋動態研究室 東屋 知範

発表論文等:Tomonori AZUMAYA, Toru NAGASAWA, Olga S. TEMNYKH, and Gennady V. KHEN, Spatial and Temporal Limitation of Salmon Distribution. NPAFC - PICES Joint Symposium, Abstracts, p.14, 2005.
[具体的データ]

図1.

サケの水温・塩分の上・下限水温と上限塩分。横軸塩分(psu)、縦軸水温(℃)。◯はサケが採集され、+は採集されなかった観測点(水色はアラスカ湾、黄緑色は亜寒帯水域、赤色は亜熱帯水域、黒色は亜寒帯と亜熱帯水域の間の移行領域)。


図2.

ベニザケの水温・塩分の上・下限水温と上限塩分。横軸塩分(psu)、縦軸水温(℃)。◯はベニサケが採集され、+は採集されなかった観測点(水色はアラスカ湾、黄緑色は亜寒帯水域、赤色は亜熱帯水域、黒色は亜寒帯と亜熱帯水域の間の移行領域)。


図3.

ベニザケの冬季の分布域(青点)と上・下限水温(黒太線)と上限塩分(赤太線)の空間分布。


図4.

ベニザケの夏季の分布域(青点)と上・下限水温(黒太線)と上限塩分(赤太線)の空間分布。





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