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等密度追従型フロートによる北太平洋中層水の形成過程の解明
北太平洋亜寒帯−亜熱帯循環間の相互作用を表す北太平洋中層水(NPIW)の形成過程と形成時間を、新しく開発された等密度面追従型フロートによって調べた。その結果、亜寒帯前線、黒潮二次前線、黒潮続流に沿って混合比の異なる3種類の新しいNPIWが形成されること、その形成時間は1-1.5年であることを明らかにした。
担当者名 独立行政法人水産総合研究センター東北区水産研究所 混合域海洋環境部 海洋動態研究室 連絡先 Tel.022-365-9928
推進会議名 東北ブロック 専門 海洋構造 研究対象 海洋構造 分類 研究
「研究戦略」別表該当項目 3(1)海洋変動予測手法の開発
[背景・ねらい]
親潮水と黒潮水が混合域で混合して、亜熱帯循環中層の塩分極小層で特徴付けられる北太平洋中層水(NPIW)が形成される。この形成過程を通じて亜寒帯域から亜熱帯域中層へ大量の水と物質が輸送されるため、NPIWの形成に関する質的・量的な知見を得ることは、地球温暖化や気候変動と環境変動を考える上で非常に重要である。本研究では、NPIWの形成過程と形成時間を調べるために、近年新しく開発された等密度追従型のプロファイリングフロートを用いた。
[成果の内容・特徴]
2001年冬〜春にNPIWの塩分極小層コアである26.7σθを追従密度とする等密度追従型フロート2台を親潮域に、4台を黒潮続流に沿って投入した。これらを追跡した結果、親潮域に投入した2台は南下して黒潮続流に達し、その後は黒潮続流域に投入した4台と同様に日本のはるか東方に流されていくことが明らかになった。さらに150°E 以東では、南から黒潮続流、黒潮二次前線、亜寒帯前線に該当する3つの前線に分かれて流されていた(図1)。各フロートのプロファイリング結果からT-Sダイアグラムを描くと、26.7σθ付近に塩分極小層を持つ新しいNPIWのプロファイルに近づいていくことがわかった。また、26.7σθでの親潮・黒潮等密度面混合比の値は各経路でそれぞれ親潮:黒潮=3:7、4:6、5:5に収束し、渦位は全経路でほぼ同じ値(およそ15×10-11 m-1 s-1)に収束することも判明した(図2)。親潮水・黒潮水合流後の親潮・黒潮等密度面混合比と渦位の収束時間から、新しいNPIWの形成時間は約1〜1.5年と見積もられた。

これらの結果から、親潮の南下流量の年変動などに対して、新しいNPIWの形成量または特性は約1年〜1.5年後に敏感に応答する一方で、NPIWの更新時間は20年であるため、NPIWの総体積、平均塩分などは親潮変動に対して数十年の時間スケールで応答すると推測された。
[成果の活用面・留意点]
・温暖化、気候変動に対する環境変動予測
[その他]
研究課題名:北太平洋中層水の形成と中層循環機構の解明(委託プロ)・物質輸送の物理過程の3次元的把握(委託プロ)

研究期間:平成12〜16年度

予算区分:文部科学省科学技術振興調整費・農林水産技術会議委託プロ研費

研究担当者:清水勇吾

発表論文等:Shimizu, Y,T. Iwao,I. Yasuda,S. Ito,T. Watanabe,K. Uehara,N. Shikama , T. Nakano ,2004:Formation process of North Pacific Intermediate Water revealed by profiling floats set to drift on 26.7 sigma_theta isopycnal surface., J. Oceanogr,60(60),453-462.
[具体的データ]




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