水産研究成果情報検索結果




サケ科魚類卵の水カビ病予防技術
サケ・マス増殖事業における放流用種苗の生産時に重要な問題となる、卵の水カビ病防止について,マラカイトグリーンに替わる防除法を検討した。マラカイトグリーンに替わる有効な医薬品としてブロノポール(2-bromo-2-nitropropane-1,3-diol)の効果を確認して新たな水カビ病防止方法を確立した。
担当者名 独立行政法人さけ・ます資源管理センター  調査研究課健康管理研究室 連絡先 Tel.011-822-2380
推進会議名 水産養殖部会 専門 病理 研究対象 さけ・ます類 分類 研究
「研究戦略」別表該当項目 2(2)病原体の制御及び宿主機能活用による病害予防技術の開発
[背景・ねらい]
サケ科魚類卵の水カビ病は古くから知られているが、マラカイトグリーンの薬浴が顕著な予防効果を示したため、産業上問題となることはなかった。2003年7月の薬事法改正後、未承認医薬品の食用となる増養殖魚類への使用が禁止された。このため暫定期間が終了する2005年7月以後は、サケ科魚類卵の水カビ病予防にマラカイトグリーンは使用できないこととなった。このため、マラカイトグリーンに替わる有効な水カビ病予防薬の検索を行い、併せて社会的要請である環境への影響を軽減する手法も検討する必要があった。
[成果の内容・特徴]
従来から魚類卵の水カビ病予防効果を示唆されていたブロノポール(2-bromo-2-nitropropane-1,3-diol)のサケ卵における水カビ病予防効果を検討した。試験管内でのミズカビ防止効果試験の結果から推定された有効濃度を参考として、ブロノポール濃度として50ppm、30分の薬浴を流水式で実施したときの予防効果を検討した(表1)。ふ化槽内でのミズカビの発育をスコアー化した判定基準により比較した結果、有意に薬浴区におけるミズカビの発育が遅く、薬浴による水カビ病予防効果が確認された。循環式による薬浴においてもその有効性が確認された(表2)。ふ化槽内での薬剤濃度の検討結果から分布に偏りがみられ、使用時にはふ化用水の流れに十分注意する必要があることが明らかになった(図1)。活性炭カラムを用いた吸着試験の結果、主成分であるブロノポールは1時間で処理する水量と使用する活性炭の容積の比であるSV値を2とするなら、使用する活性炭量の約10%の重量にあたるブロノポールを吸着可能であることが明らかになった。しかし、SV値の増加に従い吸着可能量は減少した(図2)。
[成果の活用面・留意点]
・マラカイトグリーンに替えてサケ科魚類卵のふ化槽における水カビ病予防に使用できることが明らかになった

・他魚種における卵の水カビ病への予防効果が示唆される結果となった。

・留意点:ふ化槽内における用水の流れを十分考慮し薬剤の混合が十分行われるように配慮すべきである。
[その他]
研究課題名:健康管理に関する技術開発.診断,予防,治療技術の開発

研究期間:平成15-16年

予算区分:交付金

研究担当者:野村哲一

発表論文等:野村哲一・糸屋雅子・梶原敬太・畑井喜司雄. 2004. 循環式薬浴によるブロノポールのサケ卵ミズカビ病防止効果. 平成16年度日本水産学会北海道支部大会講演要旨集, 26p.

野村哲一 2005. サケ・マス卵の病気−水カビ病と卵膜軟化症−. 魚と卵. 171, 29-43.
[具体的データ]











図 1. 循環式による100ppm,30分薬浴時のふ化槽内のブロノポール濃度の変化。ボックス型ふ化槽に9カ所の採水位置を設定し、所定時間後に各位置で採水し高速液体クロマトグラフィー法によりブロノポール濃度を測定した。




図 2. 34gの活性炭を充填したカラムに1,000ppm溶液をSV値として2から10の速度で注入した時の溶出液中のブロノポール濃度の変化。○-○;SV=10, ●-●;SV=6, □-□;SV=4, ■-■;SV=2





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