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噴火湾アカガレイ1995年級群の成長
噴火湾におけるアカガレイの卓越年級群である1991年級群と、1995年級群の成長を、耳石径からの解析により算出し、比較した結果、雌では1995年級群は1991年級群よりも成長が悪いことがわかった。この原因として、1995年級群が幼魚期であった1995年から1996年にかけて噴火湾底層水が酸欠状態になり、餌生物が減少したためと考えられる。
担当者名 北海道立函館水産試験場 資源管理部 資源管理科 連絡先 Tel.0138-57-5998
推進会議名 北海道ブロック 専門 資源生態 研究対象 かれい 分類 研究
「研究戦略」別表該当項目 1(1)水産資源の生物特性の解明
[背景・ねらい]
近年の噴火湾におけるアカガレイ漁獲物には1991年級及び1995年級の卓越群がみられる。このうち漁獲の大半を占める1995年級群は、若齢時に当たる1995年から1996年に生息域である噴火湾底層水が酸欠状態になり、餌生物が減少したことから、過去の年級群と比較して成長が悪いとされている。また、1995年級群以降の卓越年級群の発生は確認されていないため、新たな卓越群の加入まで現在の資源を有効利用しながら漁業を継続させていかなければならない。そこで、資源管理の基礎となる生物情報を得るために、1995年級群と1991年級群について成長式を求めて比較した。
[成果の内容・特徴]
解析には1997年から2002年の漁獲物を使い、Morita-matsuishiモデルを用いた耳石径からのBack Calculationによりvon Bertalanffyの成長式を求めた。耳石径の計測は、標本中の最高齢の標本については有眼側の核から各年輪までの長さ(写真1:r1〜R)、それより若齢の標本は核から外縁までの長さ(写真1:R)について行った。標本の年齢は、それぞれ1995年及び1991年1月1日を誕生日として、採集年月日を小数点を含んだ値に変換して用いた。

推定された各年級群の成長式は以下のとおりである。t歳における標準体長をSLtとした(単位はmm)。

1991年級群雌 SLt = 2044.5[1-exp(-0.0214(t-0.089))]

1991年級群雄 推定できず

1995年級群雌 SLt = 748.4[1-exp(-0.070(t-1.00))]

1995年級群雄 SLt = 319.5[1-exp(-0.182(t-1.246))]

年級群別雌雄別の年齢別推定体長を表1・図1に示し、1995年級群と1991年級群の成長を比較した。雌では各年齢において、1995年級群は1991年級群より小型であり、7歳では37.2mmの差があった。雄では、1995年級群の成長式は推定されたが、1991年級群に関しては3歳以下の体長がマイナスになるなど、現実的ではない結果となったため、推定できないと判断した。この要因として、今回用いた1991年級群雄の標本が、6〜7歳しかないことと、その体長組成がある範囲に極端に集中していたことが考えられる。
[成果の活用面・留意点]
噴火湾産アカガレイについては、刺網の目合制限、産卵期の休漁といった資源管理措置が講じられている。しかし、今回の研究結果から、噴火湾の底層環境などによって各年級群の成長は変化していることが明らかとなったため、資源量だけでなく成長といった生物情報を考慮した上で、資源状態の変化に柔軟に対応できる管理方策を検討していく必要がある。
[その他]
研究担当者:桑田 稔

[具体的データ]

写真1 アカガレイ耳石写真

(有眼側)
表1 アカガレイ91・95年級群の雌雄別年齢別推定体長


(単位:mm) (未記入欄は数値が負の値となるため削除した)
図1 アカガレイ91・95年級群の雌雄別成長曲線


(左:雌 右:雄)




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