水産研究成果情報検索結果




北海道東部陸棚域における直接測流による沿岸流の季節変化
 北海道東部太平洋陸棚域において、海底設置型ADCPを用いて沿岸流の直接測流を行い、その季節特性を調べた。周年を通して海底地形に沿う南西〜南南西向きの流れが卓越した。一方、その流速は春季から秋季にかけて、また秋季から冬季にかけて増加し、特に表層付近では、9月と1月に極大(約20cm/s)に達することが明らかとなり、当水域における流れの季節変化を把握することができた。
担当者名 独立行政法人水産総合研究センター北海道区水産研究所 亜寒帯海洋環境部 海洋動態研究室 連絡先 Tel.0154-91-9136
推進会議名 北海道ブロック 専門 海洋構造 研究対象 海流 分類 研究
「研究戦略」別表該当項目 3(1)海洋環境モニタリング技術の開発
[背景・ねらい]
 北海道東部太平洋陸棚域における沿岸流は、噴火湾湾口部付近で生まれ当海域へ摂餌回遊するスケトウダラ幼魚の分布・移動に大きく影響すると考えられる。しかしながら、当海域における流れの変動特性についての知見は極めて乏しく、これまでの研究は地衡流や水位差の変動から論じたものがほとんどである。本研究では、北海道太平洋陸棚域における沿岸流を直接測流することにより、その精度向上を図るとともに、スケトウダラ太平洋系群の動向に影響を及ぼすと考えられる流れの季節変化を解明することを目的とする。
[成果の内容・特徴]
 2003年7月〜2004年7月までの1年間、北海道厚岸尻羽岬沖の水深約80mに海底設置型ADCPを設置し(図1)、流向流速の観測を行った結果、以下の知見が得られた。

1)南西〜西南西方向の流速は,特に表層付近で9月と1月に約20cm/sの極大がみられ、9月は表層から底層間で流速差は大きいが、1月は表層から底層まで一様な流れであった。最も遅いのは10月(5-7cm/s)だが、3月後半〜4月にはオホーツク海からの流氷流出期にも関わらず、10月とほぼ同じレベルで流速が遅かった(図2)。

2)1月の流速のピークは海上を吹く北〜北北東方向の風の強化によって生じたものと推察される(図3)。また9月の流速のピークは、陸棚沿岸域において宗谷暖流起源の高温高塩分水が当該海域へ流入したためと推察される(図4)。


[成果の活用面・留意点]
1)北海道東部陸棚沿岸域における沿岸流の季節特性は、スケトウダラ幼魚の分布・回遊機構を解明していく上で重要な鍵の1つであることが示唆された。

2)当該海域における沿岸流の平均的な流れの変動特性を把握するためには、さらなる長期間にわたるデータの蓄積が必要である。

2)
[その他]
研究課題名:親潮水域・混合域における低次生態系モニタリング

研究期間: 平成14年〜17年度

予算区分: 技会プロ研「地球温暖化」

研究担当者:日下 彰・川崎康寛

発表論文等:日下彰,加藤正,川崎康寛:海底設置型ADCPを用いた沿岸親潮の直接測流. 2005年度日本海洋学会春季大会講演要旨集, p.277

日下彰:北海道東岸沿岸測流調査、平成16年度資源動向要因分析調査報告書、p18-19
[具体的データ]

図1 調査海域

▲(AK1)は海底設置型ADCP設置点、●は海洋観測点を示す


図2 海底設置型ADCPから得られた各水深における地形に沿う方向の流速の時系列変化

青が南西方向、赤が北東方向を表す


図3 2003年秋〜2004年冬の釧路における風向の頻度分布



図4 海底設置型ADCP観測と同期間の北海道東部太平洋陸棚沿岸域における、30m深の水温、塩分、密度の時空間変化

図の上が陸岸方向、下が沖方向を表す





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