水産研究成果情報検索結果




SSP-PCR法によるタラバガニ類の種判別方法の確立
北海道の水産・観光にとって重要な資源であるタラバガニ類2種、タラバガニとアブラガニを対象として、DNA分析による種判別法を確立した。タラバガニとアブラガニの塩基配列を決定し、変異部位を検索し種特異的なプライマー(SSP、Spices Specific Primer)を設計した。SSPを用いたPCR(Polymerase Chain Reaction)法により、得られた増幅産物の大きさの違いを調べることで、2種の判別が可能となった。
担当者名 独立行政法人水産総合研究センター北海道区水産研究所 亜寒帯漁業資源部 底魚生態研究室 連絡先 Tel.0154-92-9136
推進会議名 北海道ブロック 専門 資源生態 研究対象 底魚 分類 研究
「研究戦略」別表該当項目 1(1)水産資源の生物特性の解明
[背景・ねらい]
北海道で漁獲されるカニには、タラバガニ類、クモガニ類、ケガニなどがあり、すべて水産及び観光資源として重要である。このうち、タラバガニ類のタラバガニとアブラガニは外部形態による種判別が難しく、資源・生態調査の実施に際して問題となっている。また、カニは近縁種間の交雑種が存在するが、どのカニの雄と雌が交雑するのか分かっていない。このため、タラバガニ類2種を正確に判断する客観的な基準が必要となっており、本研究ではDNAによる種判別法を確立することを目的とした。
[成果の内容・特徴]
タラバガニとアブラガニの肉片からDNAを抽出し、18-28S rDNA領域や28S rRNA領域をPCR法で増幅した。増幅産物を精製しシーケンス反応を行い、シーケンス反応物を蛍光シーケンサーにより電気泳動することにより、塩基配列を決定した。両種とも冷凍サンプル及び茹でた肉片からDNAを抽出し、分析を行うことができ、塩基配列の違いから2種の判別が可能であった。その変異部位に種特異的なプライマー(Spices Specific Primer)を設計し、マルチプレックスPCRを行うことで種判別を行う方法を確立した(図1)。

 甲羅の心域の棘の数を数えることによりタラバガニ類の判別が可能で、6本はタラバガニ、4本はアブラガニと言われている(図2)。しかし、希に5本の個体が見られる(図3)。これは交雑種ではないかとSSP-PCR法による種判別を行ったところ、すべてアブラガニということが分かった。甲羅心域の棘数だけではなく、脚の裏側の色素のあるなしなど複合的に外部形態を見て種を判別した方が確実と考えられた。。
[成果の活用面・留意点]
タラバガニ類やクモガニ類は高い単価で流通しており市場の関心も高く、また、これまでにアブラガニをタラバガニとして販売した事例などは社会的な問題となっている。カニを丸ごと売っている場合、詳細に外部形態を調べることで種を判別できるが、脚や肉片だけで売られている場合には種を判別することは困難な場合が多く、また、資源・生態調査においてはタラバガニ類2種ゾエア期の判別も容易ではない。しかしながら、本研究成果はこのような場合にも、SSP-PCR法を用いることにより種判別を行うことを可能としたものであり、今後、フィールドでの交雑種の判別や食品検査などへの新たな活用が考えられる。
[その他]
研究課題名:スケトウダラ等底魚類の産卵量と成長量の変動要因の解明

研究期間:平成12年-17年

予算区分:交付金

研究担当者:柳本 卓

発表論文等:柳本 卓、2005、北海道で採集されるクモガニ類とタラバガニ類の種判別について、DNA多型 13、166-170。
[具体的データ]

図1

核DNAの28S rDNA領域のSSP-PCR法によるタラバガニとアブラガニの種判別結果例 上図:SSP-PCR法に用いた領域、下図:SSP-PCR法による増幅産物の電気泳動像

図2

タラバガニ類の甲羅 A):タラバガニ、甲羅心域の棘は6本、B):アブラガニ 甲羅心域の棘は4本

図3

甲羅心域の棘が5本のアブラガニ




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