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歯舌列数によるエゾアワビ浮遊幼生の日齢推定
  エゾアワビ被面子幼生の歯舌列数は受精後日数の経過に伴い直線的に増加することを飼育実験により明らかにした。この関係を用いて野外で採集された個体(n=112)の歯舌列数から日齢を推定した結果,ほとんどの個体が6日未満と推定された。エゾアワビ被面子幼生は4日齢で変態可能となるので,天然個体は浮遊期間を延長せずに速やかに初期稚貝に変態するものと推察された。
担当者名 独立行政法人水産総合研究センター東北区水産研究所 海区水産業研究部 沿岸資源研究室 連絡先 Tel.022-365-9931
推進会議名 東北ブロック 専門 資源生態 研究対象 あわび 分類 研究
「研究戦略」別表該当項目 1(1)水産資源の生物特性の解明
[背景・ねらい]
 アワビ類は浮遊幼生期を有し,浮遊期間の長さは幼生の移動分散の範囲や変態直後の初期稚貝の生残に大きく影響する。従って,幼生浮遊期間を明らかにすることは,アワビの加入機構や個体群の維持・形成機構を解明する上で重要である。本研究では,室内実験によりエゾアワビ被面子幼生の日齢推定法を開発し,これを用いて天然での幼生浮遊期間を推定した。


[成果の内容・特徴]
1.エゾアワビ主産卵期の水温範囲(17〜22℃)で被面子幼生を飼育し,受精後日数(日齢)の経過に伴う歯舌列数の変化を調べた。その結果,歯舌は被面子幼生期の着底・変態可能となった段階で既に形成され,その後列数は直線的に増加し,高い水温ほど速く増加することが明らかとなった(図1,2)。

2.エゾアワビの産卵期に野外で定期的にエゾアワビ浮遊幼生および初期稚貝の採集調査を行った。採集されたエゾアワビ被面子幼生88個体および変態直後の初期稚貝24個体について,室内実験で得られた歯舌列数と受精後日数の関係をもとに日齢を推定した。その結果,被面子幼生では90%が4日齢未満,変態直後の初期稚貝では83%が6日齢未満であると推定された(図3)。エゾアワビ被面子幼生は4日齢で着底・変態可能となるため,天然個体は浮遊期間を延長せずに,着底・変態可能となった段階で速やかに初期稚貝となり底棲生活に移行するものと考えられた。


[成果の活用面・留意点]
1.活用面:天然でのエゾアワビ幼生浮遊期間が明らかとなり,幼生の移動分散の程度が推定される。また,幼生の日齢を逆算することにより産卵日が特定され,産卵日の物理環境等を精査することによって産卵を誘発する主要因の解明が可能となる。

2.留意点:変態2日後以降の初期稚貝では歯舌列数の増加速度が生息環境により変動するため,本研究で開発した日齢推定法は歯舌を形成した被面子幼生から変態直後の初期稚貝(周口殻未形成個体)までにのみ適用可能である。


[その他]
研究課題名:「エゾアワビにおける発育段階毎の減耗要因の解明(交付金プロ研)」

研究期間:平成13〜15年

予算区分:生態系保全型増養殖システム確立のための種苗生産・放流技術の開発

研究担当者:高見秀輝(東北水研),押野明夫(宮城県気仙沼水試)

発表論文等:平成16年度日本水産学会講演要旨集,63 (2004).

Aquaculture 213(1-4), 311-322 (2002).

[具体的データ]




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