水産研究成果情報検索結果




鹿島灘砂浜域におけるチョウセンハマグリ稚貝の放流効果について
  近年、ハマグリの大規模な天然発生が確認されないなか、ハマグリ稚貝が確認される半閉鎖的水域(人工構築物に一部分さえぎられた海域)の汀線に、平成13〜15年にかけて、ALC標識を用いた稚貝放流を実施した。平成13〜15年放流群の追跡調査の結果から、放流群毎(放流年、放流場所)で放流種苗の残存率は一様ではなかった。
担当者名 茨城県水産試験場 浅海増殖部  連絡先 Tel.029-265-7542
推進会議名 東北ブロック 専門 増養殖技術 研究対象 他の二枚貝 分類 調査
「研究戦略」別表該当項目 2(3)沿岸・内水面域における漁場管理と資源利用技術の開発
[背景・ねらい]
茨城県沿岸漁業の重要種であるチョウセンハマグリ(以下ハマグリ)の資源量は,約4240トン(H.16年水産試験場調べ)と推定され,漁業者による資源管理型漁業の実践の下,現存する資源の有効利用が図られている。一方,ハマグリの資源量は数年から十数年に一度発生する卓越年級群に依存しており,現在漁獲されているH.2,5年の発生群を最後にH.15年度まで新たな卓越年級群となり得るような天然稚貝の発生は確認されていない。このため,ハマグリの発生・生残機構の解明及び増殖技術の開発が緊急の課題となっている。
[成果の内容・特徴]
H.13年以降のハマグリ稚貝放流状況を表1に示した。大洗サンビーチ(以下大洗),鹿嶋平井海岸(以下平井)を中心に,毎年3〜4海域を選定し稚貝の放流を行っている。放流海域の特徴として,大洗,平井,波崎海水浴場(以下波崎)はヘッドランド等の人工構築物に囲まれた半閉鎖的水域であり,大竹海水浴場(以下大竹),日川浜は周辺に人工構築物が存在しない開放的な水域である。放流種苗は(財)茨城県栽培漁業協会で生産された稚貝の貝殻にALC(アリザリン・コンプレクソン)標識を施し,天然稚貝との判別を可能にした。

放流地点を中心に調査基点を設定し,採泥による追跡調査を行い,稚貝の採捕個数及び調査面積から海域内における放流種苗の生息数量及び残存率を推定した。調査結果は表2に示した。大洗のH.13,14年放流群では,放流直後の調査において23.9%,7.9%と高い生残が推定されたが、春先になると標識貝の再捕数は少なくなり,放流1年後にはほとんど確認されなくなった。しかし,平均殻長の大きいH.15年放流群では春先から標識貝が確認され,放流1年後に4.5%の生残りが推定された。また同じく半閉鎖的水域である平井,波崎についてもH.13,14年放流群については放流1年後にほとんど確認されなかったのに対し,H.15年放流群では1.8〜3.5%の生残りが推定された。半閉鎖的水域であっても,放流種苗は調査範囲外へ移動していると考えられた。

開放的水域である大竹及び日川浜では,放流直後から標識貝は確認されず,早期に放流地点周辺から分散してしまうと考えられた。


[成果の活用面・留意点]
 放流種苗の残存率を高めるためには,種苗の減耗が大きいとされる冬期の沖合域への移動前に種苗を大きくしておくこと(高水温期の放流、放流サイズの検討)が必要である。
[その他]
研究課題名:鹿島灘はまぐり資源増大技術実証事業

研究期間:平成14〜18年度

予算区分:県単事業

研究担当者:所 高利・岩崎 順

発表論文等:第18回波崎海洋研究施設研究成果報告会論文集,33pp,2004.
[具体的データ]




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