[背景・ねらい]
仙台湾に生息するイカナゴは、海洋生態系において高次捕食者の餌生物として重要であり、その資源量の多寡は海域の漁業生産に直接影響を与えることから、毎年秋季に面積密度法により資源量のモニタリング調査を実施している。従来、夏眠域である粗砂域面積の推定は採泥器による底質図によっていたが、資源量推定精度の向上と底質調査の効率化を図るために、科学計量魚探を活用した調査方法を検討した。
[成果の内容・特徴]
イカナゴ夏眠域である仙台湾は、遠浅な海底地形で急な水深変化がないことから、計量魚探で測定される海底後方散乱強度は、底質による散乱特性を反映していると考えられる。
そこで、仙台湾12調査線(緯度線方向、のべ223.5マイル)において、科学計量魚探(Simrad社EK-500)により飽和しない海底後方散乱強度の連続測定を行い、186千件の強度データを得た。底質差による強度の感度が高い周波数120kHzのデータから、連続する100点の移動最大値を求め、D-GPSによる緯経度位置情報を平面直角座標に変換し、クリギングで内挿して海底後方散乱強度マップを作成した。桁網で採集したイカナゴの分布結果と、同時に採集された底質標本から、海底後方散乱強度-10dBから-8dBが主要な潜砂域であると推定され、マップからその面積を397平方キロメートルと評価した。
[成果の活用面・留意点]
・本方法で得られる夏眠域面積と、漁獲効率既知の桁網による分布調査で得られる平均分布密度から、夏 眠期のイカナゴ資源量を推定している。
・現在のところ、分布密度と海底後方散乱強度の対応データ数が少ないことから、今後はデータ数の充実を図り、層化方法を検討する。
[その他]
研究課題名:近海重要資源評価調査事業、資源管理に必要な情報提供事業
研究期間:平成13年度から平成16年度
予算区分:県単独事業、国庫補助事業
研究担当者:永島 宏
発表論文等:仙台湾におけるイカナゴの資源変動について、宮城県水産研究報告 第4号、2004年
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